高畑・清水通界隈
 奈良町を見守る、若草山(三笠山)、春日山、高円山の奈良三山。その山裾にあたるか高畑界隈は、豊かな自然に恵まれ、多くの文化人に愛されてきた。明治維新以降、急速に進む文明開化の動き。その中で、廃仏毀釈や日本の伝統文化を軽視する動向に、多くの文豪や画家が危機感を抱いたのだ。大正に入って志賀直哉を始めとする数多くの文化人が、伝統を受け継ぐ奈良、その中でも自然に恵まれた高畑界隈へ、引きつけられるように集まってきたのだ。志賀直哉が高畑に住んでいたころ、ステッキの倒れた方向で、その日の散歩道を決めたという。それほど、自然と溶け合う景観に恵まれている。
 高畑と元興寺界隈を結ぶ清水通は柳生街道に通じ、大正末期まで伊賀の境までの山間部から徒歩で往来する人で賑わった。奈良町の繁栄を考えるとき、農産物や薪、奈良晒の原料となる麻の供給地として大きな意味を持っていた。その名の通り豊かな水源にも恵まれ、造り酒屋や醤油などの製造業者が軒を連ねていた。
◆お薦めスポット
●大乗院庭園文化館
●福智院
●頭塔
●天神社
●瑜伽神社
◆お薦めスポット
●志賀直哉旧居
●新薬師寺
●奈良市写真美術館
●春日山原始林
●滝坂の道
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