財布に入れればお金が
貯まる、カラスウリの実!?
No60(2003年12月掲載)
 10月〜12月にかけ、5〜7センチ位の球形かラグビーボール状の楕円の赤い実を付けるカラスウリ。童謡「真っ赤な秋」で歌われている「赤い実」だ。ウリ科に属し、スイカ、メロン、キュウリ、カボチャ等も仲間だ。本州、四国、九州に分布し、トウナス連、カラスウリ科に分類される。クズのつるや低木に、巻きヒゲで絡みつくように伸び、多年草植物で、長さ5メートル位に達することもある。
 雌雄異株で、8〜9月、一晩だけ美しい白い花を咲かせるのが珍しい。日が沈むと急速に花が開き始め、5枚の花弁の先にある糸状の裂き片も、徐々に伸びて房のようにたれる。夜半前後から少しずつしぼみ始め、朝を迎える頃には丸まって白い球になってしまう。雌雄どちらの株も、葉腋(葉の付け根)に花を付けるが、5本の雄しべを持つ雄花が複数個出るのに対し、3個の柱頭を持つ雌花は1個だけだ。開花時にはかぐわしい香を放ち、夜行性のセスジスズメなどのガが蜜を吸いに訪れ、花粉を媒介する。
 よく似た植物にキカラスウリがあるが、この花は夕方から咲き始め、翌日の昼間まで咲き続ける。カラスウリの葉が表面に短い毛が密集して生えているのに対し、キカラスウリの葉は毛が少なく、表面がてかって見える。
 未熟の頃の果実は、緑色で黄のたて縞模様があり、熟して真っ赤になるにしたがって、縞模様も消えていく。おいしそうだが、果肉の部分は極めて薄く、黄色の種衣に覆われた種子が30個程入っている。実は鳥についばまれ、種子が運ばれていく。カラスが好むのでカラスウリと呼ばれるようになったとする説のほかに、朱墨の原料に中国から輸入されていた辰砂に種の形が似ているので、唐朱瓜がなまったという説もある。
 種子は長さ7〜9ミリ、幅9〜11ミリで、カマキリの頭のような形をしている。その形を、打ちでの小槌や大黒様の顔に見立て、縁起物として財布に入れておけば、お守りにもなり、お金も貯まるとも言われていた。
 果実の汁には、肌荒れを治す効果があり、昔は化粧水やシモヤケ、ヤケドを治すのに用いられていた。種子は王瓜仁(おうにんかん)、根茎は王仁根(おうかこん)と呼ばれ、漢方にも用いられている。天日乾燥し煎じて飲むと、利尿、浄血、解熱、黄疸などに薬効があるとされている。
 冬の間に根茎を採取し、クズの根からデンプンを取るのと同じ方法で採取したのが、赤ちゃんの肌荒れ防止に用いられていた天瓜粉(てんかふん)だ。現在では、シッカロール、ベビーパウダーに取って変わられ、成分も変わっているし、馴染も薄い。
 食用には、緑色の果実をよく洗ってから塩でもみ、塩をふって漬物。若芽はゆでて辛子和えにしたり、薄衣をつけて低温で天ぷらにするとおいしい。