「ツクシ誰の子、スギナの子」
No27(2001年03月掲載)
 スギナは「杉に似た菜」という意味から名付けられたトクサ科のシダ植物で、実は「生きた化石」でもある。3億年も昔にあらわれてから、体のしくみがほとんど変わっていないのだ。このスギナと地下茎でつながっているのがツクシ。誰にでも、ツクシ摘みの楽しい思いでがあることだろう。ツクシは暦の上の春ではなく、名実ともにいよいよ春らしくなったあるひとときの間だけ、いっせいに伸びてくる。野山や田んぼのあぜや土手はもちろん、家の近所の空き地などで、そのユニークな姿を、幼い子供でも簡単に見つけることができた。少しタイミングをずらしてしまうと、あたりはスギナの群れに変わってしまい、ツクシを持ち帰って料理してもらおうというトキメキが落胆に変わるのだ。
 松ぼっくりを小さくしたような頭の部分には100万〜200万個もの胞子がつまっている。この胞子が湿ったところに落ちると、前葉体になり、受精するとスギナの芽が出てくる。これがちょうど、ツクシが枯れかける頃だ。
 地下茎は、ツクシやスギナに栄養を与える役割がある。土の中で、すでに7月には1ミリほどのツクシが芽生えている。それが11月頃には約1センチになり、冬になる前には、枯れたスギナの下で、ちゃんと春を待っているのだ。
 さて、昔をしのび、子供たちと遊ぶために、ツクシ料理のしかたを紹介しておこう。まず、はかまをとり、さっと塩ゆでしてアクをぬき、水にさらす。あとは、二杯酢あえ、卵とじ、ツクシごはんに。あるいは、ゆでずに天ぷらにするのもおいしい。
 スギナのほうも食べられる。若苗を刻み、つくだ煮のように炒め煮にすると、お茶漬けや酒のあてに。また、スギナ茶には、利尿効果、解熱作用、鎮咳効果があるといわれている。